外資系高級ホテルが日本に続々進出している理由
皆さん、最近街中で見かける「〇〇〇・バイ・ヒルトン」や「マリオット」の看板が増えていることに気づいていませんか?実は今、日本のホテル業界では大きな変化が起きているんです。
外資系の高級ホテルチェーンが、まるで競うように日本各地に続々と新しいホテルをオープンしています。特に目立つのは「5つ星」と呼ばれる最高級クラスのホテルです。
なぜ今、この動きが加速しているのでしょうか?
まず大きな理由として、訪日外国人の増加があります。コロナ禍からの回復に伴い、外国人観光客が日本に戻ってきています。さらに円安の影響もあり、海外からのお客さんにとって日本は以前より「お得な旅行先」になっているんですね。
でも実は、もっと重要な理由があります。それは「資材費や人件費の高騰」です。
「え?コストが上がってるのに、なぜ高級ホテルが増えるの?」
そう思いますよね。実は私も先日、ホテル業界の方に取材した際に同じ疑問を持ちました。その方が教えてくれたのは、意外な事実でした。
「今は建設費も人件費も上がっているから、普通のホテルだと投資回収が難しいんです。だから、最初から高い料金設定ができる5つ星クラスでないと、事業として成り立たないケースが増えているんですよ」
つまり、コストが上がっているからこそ、高級路線を選ばざるを得ないというパラドックスが生じているのです。
実際、東京都内の外資系ホテルの客室平均単価は約5万7000円と、5年前から実に6割も上昇しています。日系ホテルの平均単価の2.6倍というから驚きです!
次に、この価格差について詳しく見ていきましょう。
驚きの価格差!外資系と日系ホテルの客室単価比較
「5万7000円」と「2万1952円」
この数字、何だと思いますか?
これは2024年の東京都内における、外資系ホテルと日系ホテルの平均客室単価なんです。その差はなんと2.6倍以上!
しかも、価格上昇率を見ても外資系が57%、日系が33%と、外資系の方が大きく上回っています。
「こんなに差があるのに、外資系ホテルは客が入るの?」
私もそう思い、実際に平日の夜、都内の某外資系高級ホテルのラウンジに行ってみました。すると、平日にもかかわらず多くの宿泊客で賑わっていて、特に外国人ビジネスマンやハイクラスの旅行者が目立ちました。
話を聞くと、彼らの多くは「マリオット・ボンヴォイ」や「ヒルトン・オナーズ」などの会員プログラムを利用していて、世界中どこに行っても「いつものホテル」に泊まることを好むそうです。つまり、価格よりも「慣れ親しんだブランドの安心感」を重視しているんですね。
おもしろいことに、客室数ベースで見ると、外資系は東京都内全体の約10%を占めるに過ぎません。つまり、数は少なくても高い価格競争力と集客力で存在感を示しているわけです。
日系ホテルの関係者からは「同じ地域で、同じくらいの設備なのに、なぜこれほど価格差がつくのか…」という声も聞かれます。
あるホテル評論家は「日本人は『高いものには高い価値がある』と考える傾向がありますが、外資系ホテルはその心理をうまく活用している」と分析していました。
では、なぜ外資系ホテルはこれほどまでに「5つ星戦略」にこだわるのでしょうか?その強みを次に見ていきましょう。
外資系ホテルが「5つ星戦略」にこだわる3つの強み
1. 圧倒的な会員基盤の存在
まず驚くべきは、マリオットやヒルトンの会員数です。なんと世界で約2億人もの会員を擁しているんです!
これはいったい何を意味するのでしょうか?
簡単に言えば、「すでに顧客を持っている」ということです。新規ホテルを開業しても、ゼロからお客さんを集める必要がないんですね。
実際、これらの外資系ホテルチェーンでは、宿泊予約の過半数を会員が占めています。会員はポイント獲得や予約のしやすさから、慣れ親しんだブランドを選びやすい傾向があります。
私自身、海外出張が多かった時期に某外資系ホテルの会員になりましたが、そのとき強く感じたのは「どこの国に行っても、同じ品質のサービスが受けられる安心感」でした。初めて訪れる国では特に、その価値は大きかったですね。
2. コスト高騰時代の採算性の高さ
先ほども少し触れましたが、現在のホテル業界は深刻なコスト高に直面しています。資材費は2019年比で約4割上昇し、工事費や内装コストも大幅に増大しています。
こうした状況では、4つ星以下のホテルでは投資回収が難しくなっています。一方、5つ星クラスならば高単価での回収が見込めるため、投資家も納得しやすいのです。
あるホテル開発コンサルタントは「今の時代、1泊1万円台のビジネスホテルを新規で建てるより、1泊5万円の高級ホテルの方が経営的に安定する」と言っていました。驚きですよね…。
3. 「リブランディング」という時短戦略
外資系ホテルが日本で急速に店舗数を増やしている秘密のひとつが、この「リブランディング」という手法です。
新規建設では着工から開業まで約5年かかるのに対し、既存ホテルの運営主体や内装を切り替える「リブランド」なら1~1.5年で開業できるのです。
例えば、ヒルトンは日本国内31軒のうち11軒がリブランド事例です。これは実に全体の3分の1以上!
先日、リブランドされたあるホテルを訪れる機会がありましたが、以前とは思えないほど雰囲気が変わっていました。ロビーの家具や照明、スタッフの制服まで全て刷新され、まるで別のホテルのよう。でも、建物自体は同じなんですよね。
「建物は同じでも、中身を変えることでブランドの世界観を実現する」—これが外資系ホテルの拡大戦略のひとつなんです。
次は、主要外資系ブランドの具体的な動きを見ていきましょう。
各ブランドの日本攻略プラン~ヒルトンとマリオットの野望~
ヒルトンの100軒計画と最上級ブランドの上陸
ヒルトンの日本戦略はとにかく「攻め」の一言です。なんと2030年までに国内100軒を目指すという大胆な計画を打ち出しています。
その一環として、2025年4月には大阪で最上級ブランド「ウォルドーフ・アストリア大阪」を開業予定です。ウォルドーフ・アストリアといえば、ニューヨークの伝説的な高級ホテルで、ヒルトンの中でも特別な存在です。
私は学生時代にニューヨークを訪れた際、ウォルドーフ・アストリアのロビーだけ見学させてもらったことがあります。その豪華さと格式の高さは今でも鮮明に覚えています。「いつか泊まってみたい」と思ったものですが、まさか日本でその夢がかなうとは思いませんでした。
ヒルトンの戦略で特徴的なのは、「ヒルトン」というブランドを核にしながら、「ダブルツリー・バイ・ヒルトン」「ヒルトン・ガーデン・イン」など様々なカテゴリーのホテルを展開している点です。これにより、様々な予算や目的に合わせた選択肢を提供しつつ、全体としてのブランド認知を高めています。
マリオットの47都道府県制覇への挑戦
一方のマリオット・インターナショナルは、なんと2030年までにすべての都道府県への進出を計画しています。全国制覇を目指すその野心は、まさに戦国武将のようです。
マリオットの特徴は、「ザ・リッツ・カールトン」「セントレジス」「JWマリオット」など、超高級ブランドから比較的手頃な「フェアフィールド・バイ・マリオット」まで、幅広いブランドポートフォリオを持っていることです。
昨年、地方の小さな温泉街にオープンした「フェアフィールド・バイ・マリオット」を訪れる機会がありました。驚いたのは、地元の素材や文化を取り入れながらも、確かに「マリオットらしさ」を感じる空間だったこと。グローバルなブランドでありながら、ローカライズも上手に行っているんですね。
「世界中のどこでも同じクオリティを提供する」というのが外資系ホテルの強みですが、同時に「その土地らしさ」も大切にしている…この絶妙なバランス感覚こそが、彼らの強さなのかもしれません。
このように外資系ホテルが攻勢を強める中、日系ホテルはどのように対応していくべきなのでしょうか?
日系ホテルの生き残り策と今後の展望
危機的状況に直面する日系ホテル業界
率直に言って、日系ホテルの状況は厳しいと言わざるを得ません。
今年4月には、日系大手ホテルの慣行がカルテルにつながる可能性や、透明性の低い値付けが問題視されました。利用者の不利益を招く業界慣行の是正が進まなければ、ブランド力や信頼性で外資系に大きく引き離される懸念があります。
あるホテル業界の専門家は「日本のホテルは『おもてなし』は素晴らしいが、マーケティングやブランディングでは20年遅れている」と厳しい評価をしていました。
実際、日系ホテルの公式サイトと外資系ホテルの公式サイトを比べてみると、使いやすさや視覚的な魅力に大きな差があることも少なくありません。
日系ホテルが取るべき対策
では、日系ホテルはこの「外資系の波」にどう対応すべきでしょうか?
1. 価格設定の透明化と柔軟化
まず取り組むべきは、価格設定の透明化と柔軟化です。「なぜこの価格なのか」が顧客に伝わるような明確な価格体系が必要です。
私自身、日系の老舗ホテルに電話で予約した際、「インターネットより高い価格を提示された」という経験があります。理由を尋ねても明確な説明がなく、結局オンライン予約に切り替えました。こういった不透明な価格設定は、顧客の信頼を損ねてしまいます。
2. 独自の価値の再定義と発信
日本には「おもてなし」という世界に誇れる文化があります。しかし、「おもてなし」という言葉だけが一人歩きし、具体的に何が特別なのかが伝わっていないケースも多いのです。
例えば、「旅館の仲居さんによる個別対応」「季節に合わせた細やかな演出」など、具体的な価値を明確にし、それを効果的に発信していくことが重要です。
最近泊まった京都のあるホテルでは、チェックイン時に「今日の京都」として、近隣で開催されている特別展やお祭りの情報を、スタッフの方がひとつひとつ丁寧に説明してくれました。こういった「その日、その時、その人だけ」のサービスこそ、日系ホテルの強みになりうるのではないでしょうか。
3. テクノロジーの積極的活用
外資系ホテルの強みのひとつは、予約システムやロイヤルティプログラムなど、テクノロジーの活用です。
日系ホテルも、単にシステムを導入するだけでなく、テクノロジーを活用して「人による対応」をより充実させるという視点が必要でしょう。例えば、顧客データを活用して過去の滞在情報や好みを把握し、次回の滞在をより快適にするといった取り組みです。
共存共栄の可能性も
一方で、外資系ホテルの進出は必ずしも悪いことばかりではありません。むしろ、日本のホテル業界全体のレベルアップにつながる可能性もあります。
実際、外資系ホテルで働いた経験を持つ人材が日系ホテルに転職し、新しい視点やノウハウをもたらすケースも増えています。また、外資系ホテルの進出により、その地域全体の観光客が増え、結果的に日系ホテルにも恩恵がもたらされるという「共存共栄」の例も見られます。
あるホテル経営者は「競争は怖くない。むしろ、互いに切磋琢磨することで業界全体が良くなる」と前向きに語っていました。
日本のホテル業界は今、大きな転換点を迎えています。外資系の波に飲み込まれるのではなく、それをチャンスと捉え、独自の価値を再定義していくことが求められているのかもしれません。
まとめ:日本のホテル業界に吹く「外資系旋風」の行方
近年、日本各地で外資系高級ホテルの開業が相次いでいます。その背景には、訪日外国人の増加に加え、資材費や人件費の高騰による採算性の問題があります。外資系ホテルは世界2億人という圧倒的な会員基盤を武器に、高単価戦略とリブランディング手法で急速に店舗数を拡大しています。
一方、日系ホテルは価格競争力や透明性の面で課題を抱えながらも、「おもてなし」という独自の価値を持っています。今後は、価格設定の透明化や独自価値の再定義、テクノロジーの活用などを通じて、外資系ホテルとの差別化を図ることが重要でしょう。
日本のホテル業界はまさに変革の時を迎えています。この「外資系旋風」を危機と捉えるか、チャンスと捉えるか—それが今後の明暗を分けるのかもしれません。



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